[大阪民主新報記事、2008・7・6付け]


農業守り自給率向上

紙 参院議員が「プラン」報告

阪南地区委員会

 日本共産党阪南地区委員会は6月25日、同党の紙智子参議院議員を迎え、泉佐野市民ホールで「泉州地域の農業と食の問題を考えるつどい」を開きました。農協や行政関係者、消費者など会場いっぱいの460人が参加。泉佐野市副市長が出席し、新田谷修司市長のメッセージを代読、8首長から寄せられたメッセージが紹介されました。

 紙参議院議員が日本共産党が3月に発表した「農業再生プラン」に基づき報告=5面に詳細=、日本共産党のわけ豊衆院19区候補が泉州農業の現状と打開策について語るなど、6人のパネリストが発言し、活発に交流しました。

 JA大阪泉州の農産物直売所「こーたりーな」の高田英範店長は、低農薬など安全・安心の農産物供給に努め、1日に2千人以上が来店するまでに発展したと紹介。「消費者と力を合わせ地産地消の取り組みを強めたい」と述べました。

 税関行政研究会の福本武さんは、(約1カ月かけて輸入される)米国産ブロッコリーを例に挙げ、残留農薬が多く栄養価も低い輸入品の課題を指摘。農政経験者の山下徹雄さんは、欧州各国の食料政策は国家安全保障に位置付けられていると指摘。「コスト最優先の農政転換が必要」と話しました。

 泉南市の専業農家・山下久子さんは、輸入の影響でタマネギや里芋など野菜の作付けが減少していると述べ、「1キロ100円が保障されればタマネギ栽培にも力が入る」とし、コメに加えて野菜の価格保障も充実してほしいと語りました。

 岸和田の子どもの食と健康を考える会の山本みゆきさんは、地元食材の活用など学校給食の充実に向けた活動を紹介。宮本たけし衆院比例代表候補が閉会あいさつしました。

<5面掲載文>

農業を危機に追い込んだ自民党
「農業再生プラン」で自給率向上を

日本共産党・紙智子参院議員の講演

 日本の食料自給率は39%と著しく低い。財界は「日本農業は小規模で競争力がない」と言いますが、農地1ヘクタール当たり何人を養えるかという数字では、オーストラリア0・1人、アメリカ0・8人に対して日本は10・5人。高い生産力を誇る日本農業を危機に追い込んだのが、自民党農政です。


生産コスト下回るコメ市場価格

 特にお米は深刻で60キログラム当たりの生産費は1万7千円。市場価格は約1万5千円で生産コストを下回っています。農家の労働報酬は全国平均256円(時給)。就業者は20年間で半減し、担い手の多くが高齢者です。

 日本共産党の農業再生プランは、自給率を当面50%台に引き上げることを目標に、4つの柱で具体的方向を示しています。

 1つは安心して農業を続けられるよう価格保障と所得補償の充実です。価格保障で生産コストを回収できる水準まで販売価格を保障します。販売量に比例して収入も増え生産者の意欲を高めることになります。

 さらに販売量にかかわりなく環境保全などの役割を評価し、土地面積に応じて直接払いする制度(所得補償)も充実します。現在の中山間地での直接支払い制度を平坦地に広げ、当面10アール当たり1万円程度を支給、コメの場合60キログラム当たり1万8千円ほどが農家の手元に入るようにします。必要な財源は9千億円。不要不急な土木予算削減や国全体の予算見直しで上積みすることは十分可能です。

 2つ目の提言は担い手対策です。
 政府の「水田・畑作経営所得安定対策」は規模の大小で農家を選別し、稲作では4分の3が対象外です。実態に見合う形で農業と農村を支えるすべての人の経営を支援するよう提起しています。もうーつの担い手対策は、新規就農者に月額15万円を3年間支給する「就農者支援制度」です。

 3つ目は公正な貿易のルール確立。
 食料は国の主権にかかわる問題です。WTO協定を結び安い輸入品で国内産業をつぶす結果になりました。日本の関税率は約11%で諸国と比べても開放されており、WTO協定は抜本的な見直しが必要です。


農業者と消費者の共同広げよう

 4つ目は農業者と消費者の共同を広げ、食の安全と地域農業再生を目指す内容です。輸入食品の検査体制強化、原産国表示徹底、加工品の監視強化、BSE全頭検査維持、地産地消、食の安全を重視した地域づくりの支援などを掲げています。

国民的議論を進めながら向上を

 プラン発表から3ヵ月。この間、ミニマムアクセス米や飼料米作付けなどで、日本共産党の主張と同じ方向で情勢が動き出しています。食料・農業の問題は国民の未来がかかった問題です。農業者と消費者の共同を広げ、国民的議論を進めながら、自給率向上に取り組んでいきましょう。