[大阪民主新報、2007年8月12日・19日付け、2面]


  関空第2滑走路併用開始

需要低迷・経営難・膨らむ赤字

矛盾は山積み

 2日、関西国際空港の第2滑走路の供用が始まりました。国内唯一の「完全24時間空港」としてのオープン。関西財界などが「感慨ひとしお」(下妻博・関西経済連合会会長)と祝賀ムードの一方で、航空需要の伸び悩みや関空会社の厳しい経営状況の中、マスコミも「手放しでは喜べない」(「朝日」3日付)と書くなど、矛盾や問題は山積みになっています。


凍結・中止求めてきた共産党

 「無駄な公共事業の典型」と批判されてきた第2滑走路。最終的に「07年供用開始」を決めたのは04年末、当時の谷垣財務相(自民)と北側国交相(公明)の両大臣合意でした。

 もともと第2滑走路を建設する関空2期事業は「滑走路1本では07年度に発着回数が16万回の処理能力の限界に達する」としてスタートしました。

 ところが需要が伸び悩む中、「2期不要論」が政府与党内にも浮上。自民党の太田誠一行革本部長(当時)が「21世紀初頭の三大ばか事業」とのべたほど(01年11月)。02年末には当時の扇国交相・塩川財務相の両大臣合意で、滑走路などの「上物」については需要と経営動向を見極めるとして当面、建設見送りで一致しました。

 日本共産党は需要の見通しのない2期事業について必要性そのものを再検討するよう、国と府に求め、凍結・中止を主張。

 これに対し、噴出する「不要論」に危機感を抱いた太田知事や関西財界、「オール与党」が国に陳情を繰り返し、04年末の両大臣合意となりました。

 その条件とされたのが「07年度に13万回程度」という発着回数。しかしアジアでの相次ぐ主要空港の開港、日本国内では中部国際空港や神戸空港の開港、世界で最高水準の着陸料などで需要は低迷、引き続き伸び悩み06年度は11万6475回にとどまっています。

 他方、関空会社はことし3月末で1兆1809億円の有利子負債を抱えるなど経営難は深刻です。第2滑走路の供用開始前の7月27日、関西経済連合会は「宣言」を出し、「需要に対応する旅客・貨物施設の整備」と合わせて「就航促進・利用促進」を強調。マスコミもこぞって「24時間空港として活路を開け」(「読売」2日付社説)「オール関西で需要増を」(「朝日」3日付)など強調しています。

 04年末の大臣合意では、2期島の旅客ターミナルや貨物施設の建設は先送し、滑走路だけの「限定供用」を決定。まさに「需要があるから空港をつくる」のではなく、「空港をつくったから需要をつくる」というやり方で建設が強行されてきたのが関空2期工事です。すでに9036億円の事業費が投入され、大阪府は990億円を負担。太田知事は記者会見(1日)で、「地元としてもいっそう気を引き締めて、国からの要求に応えていけるよう、みんなで力を合わせたい」などと語っていますが、見通しのない事業に、これ以上の府民の税金を投入することは許されません。