1997年9月2日  関西国際空港会社への申し入れ文


「周辺有事」を理由にした関西空港の
『米軍への提供』への拒否を求める申し入れ


 防衛庁は、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」見直しに関連して、「周辺有事」の際、米軍に提供する可能性のある関西空港など民間空港・港湾十数箇所のリストを運輸省などに提供しているという重大な事実があきらかとなった。
 関西空港は、長年にわたる地元との協議をへて「公害のない空港」「地域との共存共栄」をめざす空港として運輸省のしめした「3点セット」にもとづき、その建設がすすめられたものである。当時一部にあった「軍事利用」の懸念は論外とされてきたように、今回の「米軍への提供」などという事態は、地元地域住民・自治体にとっておもいもしなかった事態である。同時に、「3点セット」そのものを根本的に破壊するものといわねばならない。
 いま地域では「地元との約束」に反する「陸上ルート」強行の策動をめぐって、運輸省に対し、「海上ルートの約束を守れ」の世論と運動が高まっている。しかし今回の「米軍への提供」は、はじめから「地元合意」は無論、憲法までも無視して、泉州住民・空港関係者に探刻かつ重大な危険をもたらしかねないものである。
 @関西空港の米軍使用は、空港を軍事施設に変えるものであり、地域ぐるみで戦争にまきこまれる可能性があり、泉州住民をはじめ広く大阪府民の生命を危険にさらすものである。
 A「米軍への提供」は、関西空港関連施設で働く人達を自動的に軍事協力のために動員するという、基本的人権への重大な侵害にもつながりかねないものである。
 B民間航空機の飛行に制限が加わり、その安全が脅かされることになる。米軍機は「訓練」でも、「超低空飛行」などの被害が各地でつたえられているように、国内航空法が蹂躙されており、ましてや「戦時」などの事態が起こればそれがいっそう深刻となることはまちがいない。
C「有事」の際の空港提供は、そのために必要な準備を「平時」から行う事を意味し、関空が常時軍事管理下におかれる事になると想定される。
 関空は、「公害のない空港」「地域との共存共栄」をめざすと同時に、当然のこととして、安全、正確、快適な運行を保証する空港として、広く国内外の利用者に対して重大な責任を負っている。それは、戦争遂行のための軍事利用と絶対に相いれない事は明白である。
 地域住民、関空で働く人達、及び関空利用者すべてのくらしと安全を守るため、関空の「米軍への提供」を断固拒否されるよう強く申し入れる。


一九九七年九月二日

陸上ルート反対三者連絡会          

大阪労連阪南地区協議会
公害のない住みよい泉佐野市をつくる会
日本共産党阪南地区委員会


関西空港株式会社 殿