1997年6月17日

中村党府委員会政策部長が談話

運輸省が、関西空港の飛行経路を陸域にも設定する「陸上ルート」を十六日に地元自冶体に提示した問題で、日本共産党大阪府委員会の中村正男政策部長は六月十七日、次の通りの談話を発表しました。



 運輸省が発表した関西空港の「陸上ルート」案は、「公害のない空港」という空港建設の原点を踏みにじるものであリ、断じて容認できないものです。しかも、運輸省案は、その論拠といい、やり方といい、二重三重に府民を愚ろうしています。

 その一つは、一九八一年に「空港計画案」など「三点セット」をだした際には、航空路の混雑ぶりなど「思いもよらなかった」というのですが、当時どんなデタラメなデータだったのか、今回の予測データは根拠があるのか。空域や空路の変化などについても、いっさい府民の前に明らかにしていません。仮に「予測できず」が真実だとするなら、この二十年来、ずさんな見通しのまま空港建設が強行されたことにもなり、国会でもくリかえし「年間発着十六万回で安全」と虚偽の答弁をしてきた責任がきびしく問われます。

 二つめに、運輸省案は、「全国的な交通容量の拡大」など「総合的な対応」策のあれこれは示しているものの、最終後節「関西国際空港のさらなる発展に向けて」が強調するように、要は「はじめにハブ(拠点)空港ありき」、「第二期工事ありき」で、そのために「はじめに陸上ルートありき」という本音がむきだしです。
 しかし、「ハブ空港」という位置づけは、世界の「人、物、情報、金」を二十四時間集めるという関西財界の「国際都市大阪」論のなかで、にわかに浮上した議論です。それがどうして府民利益の上にくるのでしょう。

 三つめに、「陸地上空に入る地点は八千フィート」にするなど、「三点セット」の精神は堅持すると強弁するのですが、この案にはどこにも「海上ルート堅持」という選択肢はありません。「八千フィート」の高度をかならず守れるのか、「八千フィートなら騒音は大丈夫」なのかについても、保障の限りではないでしょう。

 問われているのは、運輸省とともに大阪府政です。横山府政は三日に、関西空港飛行経路問題については「何らかの対応が必要」で、ハブ空港として育成していくために「総合的なとりくみが必要」という「見解」を発表しました。今回の運輸省案は、問題点が府などの「一定の理解を得た」として、間髪入れずだしてきたものです。横山府政は、この案について、「詳細な説明など、(地元に)誠意ある対応をお願いしたい」というだけで、かつて黒田革新府政が運輸省と堂々とわたりあい、国のプランであれ、「不適当な際は撤回する」と確約させていたこととはきわめて対照的です。

 これまでに府議会と地元十三市二町の議会が、「陸上ル−ト」に反対する決議をあげており、府民世論の反発は必至です。
 日本共産党は、このような運輸省案の即刻撤回を求めるとともに、横山府政が運輸省や関西財界にたいして、府民利益を守る立場をき然とつらぬくようきびしく求め、広範な府民のみなさんとともに奮闘するものです。