[しんぶん赤旗、2006年10月12日付け2面]

借金返済 見込みの半分

関空事業  会計検査院が指摘

小林議員検査要求

 会計検査院は十一日、二期事業が行われている関西国際空港の有利子債務の減少額が、国土交通省試算の千二十四億円(二〇〇六−〇八年度)を大きく下回り、四百九十五億円にすぎないと試算した報告書を発表しました。国交省の見通しの甘さが浮き彫りになりました。

 今回の試算は、日本共産党の小林みえこ議員が昨年三月の参院決算委員会で、特別検査の実施を求めたものです。会計検査院長は「いろいろな面から検査を進める」と答弁していました。

 関空は、国が定めた基本計画に基づき、二本目の滑走路を造る二期事業を進めています。開港当初から約一兆円の有利子債務があり、〇五年度末で一兆二千四百三十億円(うち有利子は一兆五十二億円)の借金残高を抱えています。

 有利子債務を確実に返すためとして、〇二年に当時の財務相と国交相の合意で、国が関空に対し〇三年から三十年間にわたり毎年度九十億円の給付金を交付することを決めました。

 しかし、その後も航空機発着回数などの見通しが大きく下回りました。関空は、三七年度までに借金を完済できるとしていましたが、難しくなっています。

 会計検査院は報告書の中で「政府補給金等に頼る必要のない安定的な経営基盤を確立することが必要」と述べています。

政府責任重い

 小林みえこ参院議員の話
 今回の会計検査院の報告書で、国土交通省の有利子債務減少計画が大幅に下回ることがはっきり出ており、改めて驚きました。私は、昨年三月の参院決算委員会で、関空の需要予測と実績との乖離(かいり)、累積赤字や一兆円を超える債務をかかえて、なおも二本目の滑走路を整備する二期事業は無駄な大型開発だと中止を求めてきました。
 今回の会計検査院の指摘で、関空二期事業を推進してきた政府の責任が厳しく間われています。